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2020年4月26日日曜日

北原進の " さくら皿 "





春がゆっくりとやって来るこの地域にも

ようやく桜の息吹が感じられる頃となりました。


やさしい感じをとの想いから、ひらがなで

“さくら皿”と名付けられたこの作品は、

今から15年ほど前

桜の花びらに魅せられた北原の

「そのやわらかさとフワフワ感を木で表現したい」

との想いから生まれました。


木地は、やわらかくてノミ目を美しく生かせる材である栃を選び

漆は黒漆中塗、朱漆仕上げのとても愛らしいお皿です。


使っていくうちに、よりしっとりとした質感の、

ほっこりした器になっていきます。


こんなふうに5枚合わせて、

満開に咲き誇る桜に見立てても楽しく 。。。






散り始めの様相を思い思いに、

その時の気分で並べても素敵 。。。






そして、美しく散りゆく花びらに

想いを馳せるのもまた粋 。。。






季節を愛でる器として、暮らしにやさしい彩りを添え

かけがえのないひとときに、ステキな“モノ語り”を紡ぐ器

としてお使いいただきたい"さくら皿"です。



2016年6月11日土曜日

勿忘草




父の作品を見まわすと、花などの
身の回りの自然をモチーフにしたものが
多いことに気付きます。

うちの工房裏には季節折々の花が咲き
目を楽しませてくれます。

全て父が長年かけて育てた花たちです。

父はこの木曽の地で62年間
漆の仕事をやってきました。

自然が好きで
春の山菜採りから秋のキノコ狩りまで
いつも山々を巡っていました。

おそらくそのなかで
作品のモチーフになるものを
探していたのかもしれません。

父を代表する作品のなかに
水の流れのなかに勿忘草(わすれな草)を
型どったものがあります。

文庫や茶箱、棗などに描かれる勿忘草は
可愛らしく繊細に表現されています。

数々の技法を駆使して
長い時間をかけて制作された作品です。

若い頃はたくさんの仲間のなかで
漆の腕を磨き
技術を習得したようです。

父の時代はお互いに競うように仕事をして
また、寝る間も惜しんで遊んでいたそうです。

父はどれも一番に頑張っていたとか。。。

私もこの先
父に負けない作品制作を
頑張ってゆきたいと思います。

木曽では若葉が映え
勿忘草の咲く美しい季節を迎えています。

今年の花の美しさは一生忘れないでしょう。

                             北原進







2016年2月16日火曜日

梅鶯の候。。。


北原進の梅皿


各地で春一番が吹き
雪深いこの山里にも
今年は少し早く春がやってきそうです。

一昨日、車を走らせていると、洗馬のあたりで
梅の花が咲いているのを見つけました。

梅見月とも呼ばれる2月ですが
例年になく早い開花に
びっくりしてしまいました。

昔々、万病に効く薬として
中国から入ってきた梅。

その香り高く愛らしい姿は
どの時代も人を魅了し
和歌や俳句にも多く詠まれてきました。

木曽路を歩き、多くの俳句を読んだ松尾芭蕉も
最期の春にこんな句を残しています。

” 梅が香に のつと日の出る 山路かな ”

「立春を過ぎてもまだ寒さの残る頃、
梅香る山路を歩いていたら
なにげにひょっこりとお日様が顔を出したよ。」

そんな様子を詠まれたのでしょうか。。。
山深いこの土地の春の情景とつながって
時空を超えた親しみを感じます。

そんなことを考えながらいただいた今日のおやつは
木曽福島の和菓子屋さんの “木曽馬最中”。

のんびりした表情の最中を夫の梅皿に乗せると
なんともほっこりとした気持ちになります。

湯呑は、今から20年ほど前の学生の時に
有田の陶器市で購入したもの。

長年使い込むうちに良い風情を醸し出してくれる器は
その時一緒だった友人や楽しいおしゃべり、
晴れていて暑かったことまで、
まるで昨日のことのように思い出させてくれます。

これもまた “モノ” の持つ魅力のひとつ
なのかもしれませんね。



2015年8月2日日曜日

心のふるさと。。。 〜 北原進 栓拭漆飾棚 〜


北原進 栓拭漆飾棚 油注花入


子供の頃、夏休みは毎朝
こども会のラジオ体操が1日の始まりでした。

朝顔にお水をあげて、
朝だけのひんやりとした空気のなかを歩く
広場へと続く川沿いの小道。
セミの鳴き声。

夏になると、いつになく
ふるさとが恋しくなります。




わたしの実家では、お盆には毎年
迎え火を焚いてご先祖様をお迎えし、
集まった家族や親戚とともに過ごすのが習わしです。

精霊棚を整えて、お墓参りから帰って迎え火を焚くと、
なんだか一気に賑やかになったような気がして
不思議な安心感に包まれます。




時とともに周囲の景色は移り変わっても、
心のアルバムをそっとめくってみると
決して変わらない心の原風景がそこにはあります。

場所とかイベントとかではなく
一緒に過ごした人たちからもらった
ぬくもりのなかにこそ
心の原点はあるのかもしれませんね。




2014年6月10日火曜日

北原久 作 〜 彫漆ツユ草平棗 〜





比較的落ち着いた天候のなか、
今年の漆器祭も無事に終わりをむかえました。

各地で発生した集中豪雨のなか、
たいへんな思いをされながらも
遠方よりお出かけくださいました皆様方には、
心より御礼申し上げます。

こちらでは漆器祭が終わると、
今度は蛍の季節がやってきます。

昨日は片付けを終えたあと、
蛍を見に行ってきました。

今年は例年よりも早いのか、
すでにたくさんの蛍が乱舞していました。

日本には約40種類もの蛍がいるそうですが、
光を放つのはゲンジボタルやヘイケボタルなどの
わずか数種類だけ。。。

写真の作品は、父、北原久の ” 彫漆ツユ草平棗 ” 。

秋の季語である露草(ツユクサ)は
実は蛍が出てくる、この頃から咲き始めます。

昔、蛍籠にいっしょに露草を入れていたことから
露草は別名を蛍草ともいうそうです。

自然のなかで季節のうつろいを感じて心潤し、
また次なる1歩を踏み出す元気をもらったような
そんな気がします。