北原進の梅皿 |
各地で春一番が吹き
雪深いこの山里にも
今年は少し早く春がやってきそうです。
一昨日、車を走らせていると、洗馬のあたりで
梅の花が咲いているのを見つけました。
梅見月とも呼ばれる2月ですが
例年になく早い開花に
びっくりしてしまいました。
昔々、万病に効く薬として
中国から入ってきた梅。
その香り高く愛らしい姿は
どの時代も人を魅了し
和歌や俳句にも多く詠まれてきました。
木曽路を歩き、多くの俳句を読んだ松尾芭蕉も
最期の春にこんな句を残しています。
” 梅が香に のつと日の出る 山路かな ”
「立春を過ぎてもまだ寒さの残る頃、
梅香る山路を歩いていたら
なにげにひょっこりとお日様が顔を出したよ。」
そんな様子を詠まれたのでしょうか。。。
山深いこの土地の春の情景とつながって
時空を超えた親しみを感じます。
そんなことを考えながらいただいた今日のおやつは
木曽福島の和菓子屋さんの “木曽馬最中”。
のんびりした表情の最中を夫の梅皿に乗せると
なんともほっこりとした気持ちになります。
湯呑は、今から20年ほど前の学生の時に
有田の陶器市で購入したもの。
長年使い込むうちに良い風情を醸し出してくれる器は
その時一緒だった友人や楽しいおしゃべり、
晴れていて暑かったことまで、
まるで昨日のことのように思い出させてくれます。
これもまた “モノ” の持つ魅力のひとつ
なのかもしれませんね。