2016年6月11日土曜日

勿忘草




父の作品を見まわすと、花などの
身の回りの自然をモチーフにしたものが
多いことに気付きます。

うちの工房裏には季節折々の花が咲き
目を楽しませてくれます。

全て父が長年かけて育てた花たちです。

父はこの木曽の地で62年間
漆の仕事をやってきました。

自然が好きで
春の山菜採りから秋のキノコ狩りまで
いつも山々を巡っていました。

おそらくそのなかで
作品のモチーフになるものを
探していたのかもしれません。

父を代表する作品のなかに
水の流れのなかに勿忘草(わすれな草)を
型どったものがあります。

文庫や茶箱、棗などに描かれる勿忘草は
可愛らしく繊細に表現されています。

数々の技法を駆使して
長い時間をかけて制作された作品です。

若い頃はたくさんの仲間のなかで
漆の腕を磨き
技術を習得したようです。

父の時代はお互いに競うように仕事をして
また、寝る間も惜しんで遊んでいたそうです。

父はどれも一番に頑張っていたとか。。。

私もこの先
父に負けない作品制作を
頑張ってゆきたいと思います。

木曽では若葉が映え
勿忘草の咲く美しい季節を迎えています。

今年の花の美しさは一生忘れないでしょう。

                             北原進