2013年8月20日火曜日

漆のしごと場


木工のしごと場 については先日のブログでも紹介しましたので、
今回は " 漆のしごと場 " についてのお話です。




北原漆工房を訪れてくださった方々からは「だだっ広くて、なにもないですね。」とよく驚かれます。

うちの工房は進が生まれた時に塗師である父、北原久 が建てたもので、歴史的にこの地域 (木曽)では座卓など大きな物を作ってきたこともあり、この工房では1階と2階を合わせて40畳あまりをフルに使って漆の仕事をしていました。

その後、進が木工のしごともするようになったのでそのためのスペースも必要になり、今では1階の20畳あまりのスペースで塗りのしごとをしています。

仕事をしやすくするため、人様から「なにもない」といわれるくらいにいつも片付けていますが、作業工程にあわせて必要な道具を用意し、効率的な作業場を作るようにしています。

閉じているとわかりにくいですが、漆を乾かす" (むろ、もろ)"というスペースもあり、その中には茶道具や日々の暮らしの器に花器、そして小箪笥、テーブルとった小家具や厨子など、さまざまな作品がところ狭しと並んでいます。


正面に見える戸の向こうすべてが 漆を乾かす "室"


2013年8月17日土曜日

木工のしごと場


北原進 は 木地づくり(木工) から漆の仕上げまで一貫して自分の手で
行っているため、木地づくりのしごと場と漆工のしごと場を
それぞれ作業しやすいように整えています。

今日は木工のしごと場を少しご紹介します。


 
 さまざまな木工の道具がところ狭しと並んでいます。


 
 木工のしごとは細かい木屑の埃がたくさんでます。作業をしている
 進の横で木屑をかぶっているこのラジカセは、30年以上も前
 のものですがまだまだ現役です。
 ここから流れてくるラジオにひとりツッコミをいれたりしながら、
 しごとをしています。


 
 奥に立てかけてあるのは木地作りに使う材木です。
 このほかにもまだまだたくさんあります。


 
 ここは刃物を研ぐ水場。たくさんの砥石がおいてあります。


 
 しごと場の出入り口。もともとは 父である北原久 が手作りし、後に進が
 手直しをしながら現在にいたっています。うちの工房は進が生まれた年に
 父が建てたもので、進と同じ46歳です。木曽は信州のなかでも春が
 やってくるのがおそい地域で、5月半ばくらいまで桜が咲いています。
 その季節になると、こんなふうに工房の中にも花びらが入ってきたりします。


* またたびリポート *

うっとり・・・



6月に東京 南青山の" べにや民芸店 "さんにて展覧会を開催させていただいた際に分けていただいた"またたびボール"



うちのニャン子たち(うるみん&くるみん)大のお気に入りです

自然の物の良さ、手作りの温かみが伝わってくるモノって、やはり猫には良くわかるのでしょうね。






うれしくて でんぐり返り♪
ん〜・・・♪

くるみん  
うるみん






2013年8月16日金曜日

* 天の川 * The Milkyway *


雲ひとつないクリアな夜空


肉眼でもハッキリと見える天の川




9月の奈良から続く秋の展覧会にそなえて、7月、8月は信州ごもりして制作に励んでいる北原漆工房です。

この時期は天の川が北天頂に輝き、さらに今年はペルセウス座流星群もキレイに見えるということで、お天気のいい夜は星空観察をしています。

標高900mほどのこの地域では、昼間はけっこう暑いものの、朝夕は肌寒いくらい。

特に夜は寒いので、毛布にくるまりながらアウトドア用の椅子をほぼ水平にすると、満天の星空が広がっています。

ペルセウス座流星群の極大といわれた813日は、長い尾を引いた流れ星をたくさん観察することができました。

見上げるだけで最上の贅沢・・・

まさに五感で感じる自然のプラネタリウムですね。

そんな大自然のすぐ近くで暮らせることをとてもしあわせに感じています。



満天の星空



見上げるだけで最上の贅沢☆



2013年8月9日金曜日

デザインのこと




北原進が生まれ育った木曽地域は香川県と同じくらいの広さがあり、そのうち93%ほどが森林でしめられている自然豊かな地域です。

進が作品を制作するときになにからインスピレーションを得ているのかというと、それはいつも身近にある信州の自然です。

高校卒業後、バイクが好きでよくツーリングに出かけていた進は、白いヘルメットを買ってきてはそれに直接アクリル塗料で好きなデザインを描き、飽きたらまたその時々の好きなイメージにペイントし直すということを繰り返していました。そのときラフスケッチや下絵などは描かず、ヘルメットの上に直接、直感でデザインを施し色をのせていきます。

上の画像は水から得たイメージをもとに自分でデザインしたバイクのヘルメットで、今から20年前のものになります。自作のヘルメットから後日自分でおこしたスケッチをもとに、メーカーであるSHOEIさんが公募展の副賞として作ってくださったこのヘルメットは、今も現役で進の身を守ってくれています。






そしてこの画像の上の作品は"流れ"からイメージを膨らませて2010年に制作した"流線紋鉢"です。素材や技法が違っても、こうして並べてみると20年近くたってもかわらない "なにか" が進の中に流れているような、そんな気がしてきます。

進は木地作り(木工)の仕事から漆の仕上げまでの全ての工程を一貫して自分の手で行い、自らデザインした作品をかたちにしていきますが、その工程でもやはり下絵やラフスケッチなどは描かず、自分の中のイメージをもとに木取りをした材に目印となる線を描きながら制作するというスタイルでしごとをしています。信州の自然から日々うけている恩恵が自分のなかに蓄積し、それが直接かたちになって出てくるような感覚。

教育機関で "ものづくり" を学んだ経験のない進はデザインもなにもかもすべて我流で、これまでテーマやコンセプトといった事柄を特に意識して制作するということもありませんでした。今秋の展覧会では自分の中に新らしい引き出しをみつけ成長できたらと、楽しみながら取り組んでいます。