2012年11月19日月曜日

満天の星に願いを・・・




11月17日に今年も無事に進の誕生日を迎えることができました。
今年の誕生日は白馬に滞在してのんびりと温泉につかり、鋭気を養ってきました。
白馬はうちから2時間くらいですが、季節は一歩先を行っていて、すでにオープンしたスキー場もいくつかありました。
高校生の頃の進はスキーをしによく白馬に通っていましたが、最近ではもっぱら家から15分か20分くらいのところにある木曽のスキー場に行っています。

数日前の木曽では冴え渡る透明な空気の中で、満天の星空と天の川を見ることができました。
しし座流星群は今が見頃らしいですが、みなさんはもうご覧になりましたか?
流れ星が消える前に願い事をすると叶うっていいますよね。

どうかみなさんのもとに、たくさんの幸せが巡ってきますように。


Thank you for the birthday messages! It's truly heartwarming.
The best viewing for this year's Leonid meteor shower was several hours before dawn on November 17.

Did you see that?
In Japan, we say that if you wish upon a shooting star before it disappears, what you wish for can be realized.
I wish you all the best. :)

2012年11月14日水曜日

奈良井宿 そぞろ歩き



奈良井宿の歴史的街並



木曽はおおよそ香川県と同じくらいの広さがあり、そのうち93%ほどが森林でしめられている自然豊かな地域です。
そして江戸時代の五街道のひとつである中山道沿いに発達した、貴重な文化遺産が多く残っている地域でもあります。
中山道は東海道と同様に江戸と京都を結ぶ街道として古くは " 木曽路 " とも呼ばれ、67箇所の宿場町がありました。そしてそのうちの11宿が現在の木曽に位置しています。

" ギャラリーいさら " での個展と、" 工藝 藍學舎 " にて開催の「第10回北杜工藝展」が無事に終了し、ほっと一息。
とはいえすぐ来週には次の作品展がひかえているので遠出はやめて、近場の奈良井宿に散策に行ってきました。

奈良井宿は木曽路11宿の江戸側から2番目。11宿の中では最も標高が高いところに位置しています。
当時の奈良井宿多くの旅人で栄え、その繁盛ぶりは「奈良井千軒」ともいわれた賑やかな宿場町でした。
国の重要伝統的建造物群保存地区として当時の町並みが保存されており、NHK朝の連続テレビ小説「おひさま」の舞台にもなったところです。




気持ちの良いひんやりとした風を感じながら歩いていると、いたるところに素敵な秋がひっそりと息づいていました。






途中、観光案内所へ。こちらも何とも言えない風情がありますね。
小さな入り口の戸をおそるおそる開けてちょっとのぞいてみると・・・誰もいません。
スローな時間が流れています。



奈良井宿の観光案内所



そして、江戸時代に塗櫛問屋として栄えた中村屋さんの建物 " 中村邸 " へ。
NHK朝の連続ドラマ「おひさま」では、飴屋さんとして登場していました。






中村邸は180年ほど前に建てられた、国の選定重要伝統的建造物群のなかの代表的な民家で、現在は一般公開されています。
実はこの建物の外観にも、当時の工匠たちのすぐれた技とその造形美をみつけることができるんですね。

この建物を見てまず目につくのは、京都の町家風の格子と、独特な形態をした鎧庇(よろいひさし)です。
板を重ねて波形に反らせたこの鎧庇は、全国的にみてもここ奈良井宿だけのものです。
広い板が横にいくつか並べてあり、その上に並んでいる板をおさえる桟木を猿頭といい、百数十年もの風雪に耐えてそこにいる何匹もの猿が、なんだか今にも飛び出してきそうです。
さらにその鎧庇をつるす金具の曲線の美しさにも、江戸の工匠たちの技と美を見ることができ圧倒されます。

ただしその構造は、盗賊が忍びこもうと上れば庇もろとも下に落ちる仕掛けになっているそうで、うっかりベランダに出る感覚で外に出るとたいへんなことになるのでご注意を。(だれも出る人はいないと思いますが・・・。)
当時の人々の生活の知恵、そしてそれが具現化された用と美に魅了された奈良井宿そぞろ歩きでした。





車でほんの数分の隣町とはいえ、いつでも行けると思うとなかなか出かける機会のなかった奈良井宿ですが、ゆったり歩いてみるといろいろな発見がありました。

ほんの数日前に綺麗な紅葉を眺めながらほっと一息ついたところですが、今日はこの地域には初雪が降り、突然冬がやってきました。

寒さの厳しい地域ですが、スキーが大好きなわたしにとってはシーズン到来!といった感じです。


うちの窓から見た初雪。


2012年11月11日日曜日

作品展を終えて 〜 ギャラリーいさら 〜






ギャラリーいさらでの個展を、おかげさまで昨日無事に終了することができました。
 ご来場くださいました皆様、またいつも気にかけてくださっている皆様、ほんとうにありがとうございます。

個展会期中には東京の木々が少しずつ色づいてゆく様子を楽しむこともできました。木曽の紅葉は今真っ盛りといった感じです。

四季を通じて美しい信州ですが、今年の紅葉はまた格別です。

会期中に東京からうちの工房にドライブしてきてくださったお客様も、今年の信州の紅葉は特別美しいと感動しておられました。

いくつもの嬉しい出会いにも恵まれ、感謝の気持ちでいっぱいです。

ありがとうございました。


2012年10月30日火曜日

作品展のお知らせ 〜 ギャラリー いさら 〜










11月3日(土)から11月10日(土)まで、恵比寿の "ギャラリーいさら" にて作品展を開催いたします。

日々の暮らしの器や花器、そしてジュエリーボックスに整理小箪笥、丸テーブルといった小家具や厨子など、
さまざまな作品を展示いたします。

ぜひ御高覧ください。


北原進 木漆芸展  
2012年11月3日(土)〜10日(土) 12:00〜19:00 (最終日 16:00)
在廊日 11月3日(土)、4日(日)、10日(土)
ギャラリーいさら 〒150-0013 東京都渋谷区恵比寿1-26-19  カラコル5 - 1F
TEL&FAX 03-3446-8878(会期中)          http://ameblo.jp/g-isara/    "




2012年10月29日月曜日

日々精進


北原 久  


週末にうちの工房を遠路はるばる訪ねてくださった素敵なご夫妻。
北原久のお重を以前に雑誌や本で見て、いつか工房を訪れたいとずっと思ってくださっていたそうです。
ありがたいことです。あたたかな心のエネルギーをいただきました。

こちらのページトップの『雛の日の木曾漆器』の特集に掲載されているお重です。

ちなみに下の方には、進のお椀と梅皿も掲載されています。
http://books.bunka.ac.jp/itomasako/1003.html


おかげさまで父は70歳を過ぎてもとても元気で、来年の "
京王百貨店新宿店 美術画廊" での個展にむけて
日々忙しくしています。

そして今週末(11/3)からは 恵比寿の "ギャラリーいさら" にて " 北原進 木漆芸展 "を開催します。


同じく11/3(土)から宮城の "工藝 藍學舎" にて開催の「第10回北杜工藝展」にも参加させていただきます。

今年も残すところあと2ヶ月ちょっと。
皆様にお喜びいただけますよう、日々精進に励んでいます。


2012年9月26日水曜日

作品展のお知らせ 〜 近鉄百貨店 奈良店 5F 美術 〜








9月27日(木)から10月3日(水)まで、近鉄百貨店 奈良店 にて作品展を開催中です。

今回は近鉄百貨店 奈良店での2年ぶりの作品展となります。
会期中は在廊いたしておりますので、どうぞお気軽に声をかけてください。

日々の暮らしの器や花器、そしてジュエリーボックスに整理小箪笥、丸テーブルといった小家具や厨子など、さまざまな作品を展示いたしております。

ぜひ御高覧ください。


" 2012年 9月 27日 (木) 〜 10月3日 (水)
      近 鉄 百 貨 店  奈 良 店  5F  美術 "

2012年9月24日月曜日

木曾平沢の竹祭り






今年も923日、24日の二日間、木曾平沢にて竹祭りが開催されています。竹祭りはこの地域で419年前から続いている祭りで、竹に水をつけて大きな火事を消したという史実に由来しています。

夜にはこの地域の諏訪神社や町通りに800個もの漆桶と竹の行灯が並び、なんともいえない幻想的な雰囲気に町全体が包まれます。

27日からの奈良近鉄での作品展にむけて忙しいなかではありますが、昨夜はこの竹祭りに行ってきました。

進が生まれ育ったこの木曾平沢という町は、漆器産業を生業とする人々が集住する全国でも珍しい地域です。

漆工という伝統工芸の職人町としては日本で唯一、「国の重要伝統的建造物群保存地区」に選定されており、伝統的な町並みの整備が進んでいます。

素敵な演出をなさっているお宅ですね。


その町並みは中山道にそって南北に細長く走り、江戸時代の出梁造の建造物に加えて、大正時代から戦前にかけての建物、また戦後の建物など各時代の特徴的な建物が併存しています。

木曾漆器は江戸時代以前には産地として成立していましたが、明治初期に地区内で「錆土」という下地材が発見されたことにより本堅地漆器の制作が可能となりました。この発見により木曾漆器は大きく発展し、昭和50(1975)には国の伝統的工芸品として指定されています。


2012年8月26日日曜日

A Lovely Place To Be




A kitten of five months came to my life on the 28th of July in 2012. The first time I saw her, she was only 900 grams in weight because she has been sick. Now she got well, and grew to be a 
tomboyish girl. I hope this place is lovely for her. :)


2012年8月23日木曜日

ほっと一息 * うるみ *



1年以上前から準備をしてきた東京都美術館での大規模な展覧会を終えて、ほっと一息ついています。

今日は我が家の新メンバーのご紹介です。
北原潤(うるみ) 3月3日生まれのアビシニアンの女の子です。
うちにやってきたときは病気で、生後5ヶ月にもかかわらず体重が 900g しかありませんでした。
心配で夜も眠れないくらいでしたが、1週間でみるみる回復して体重は1.4kgとなり、それから2週間たった今では2kgほどになりました。(といってもメタボではありません)
元気でしあわせにすくすくと育ってほしいと、ただそれだけを願っています。

潤という名前は漆の潤色からもらいました。朱と黒の間の微妙な色味です。
北原の作品ですと、こちらのジュエリーボックスの色がその潤色です。









東京都美術館での展覧会を終えて


京都美術館での展覧会、『月火水木金土日・・想いを繋ぐ」』を、無事盛会のうちに終了することができました。
ご来場いくださいましたたくさんの皆様、ほんとうにありがとうございました。
この展覧会をとおして出会えた人、物、出来事・・・すべてにただただ、感謝しています。
この繋がりの輪が、未来に向かってさらに広く、大きく巡ってゆくことを願っています。


2012年8月16日木曜日

展覧会のお知らせ 〜東京都美術館〜




東京都美術館での展覧会がいよいよ開催中です。
暑いときではありますが、ありがたいことに連日たくさんの方々がご来場くださっております。
最終日である8月18日(土)の午後は北原も在館しておりますので、どうぞお気軽に声をかけてください。
東京都美術館にて、みなさまにお会いできることを楽しみにしております。ぜひお出かけください。


出展作家
染織  小島秀子 加藤富喜 鶴田昌子 
染色  土屋直人 坂田峰子 森田麻里 桂川美帆 大木夏子 大谷敦子
陶  角谷啓男 雪ノ浦祐一
磁器  泉さやか 佐藤典克 
金工  鈴木祥太 本田ゆうすけ 
鍛金  長谷川大祐 
七宝  頼高純音 
木漆 北原進

2012年8月12日(日)ー18日(土) 
午前9時30分から午後5時30分まで(入場は午後5時まで) 入場無料
東京都美術館 公募展示室 2F3棟
『月火水木金土日』-想いを繋ぐ-実行委員会 omoiwotsunagu@gmail.com
主催:東京都美術館 〒110-0007 東京都台東区上野公園8-36 03-3823-6921

2012年7月22日日曜日

“ 東京都美術館 第1回都美セレクション展 ” 、企画展示。





来月開催の東京都美術館での展覧会 「月火水木金土日ー想いを繋ぐー」 にて、企画展示室に展示予定の " 合鹿椀 " の制作工程をご紹介します。
今年2月号のLEE別冊付録『伊藤まさこさん「スタイルBOOK」』(集英社)に、" 北原進さんの合鹿椀 " としてご紹介いただいたお椀です。

左から順に、木取り→粗取り→仕上がり木地→布着せ→サビ摺り→黒中塗り になります。
さらに会期中は朱色に仕上げた完成作品もならびます。

こうして横1列に並べてみると、サクッと簡単に作っているように思われるかもしれませんが、完成までには時間的にも手間的にもたくさんの工程を経ています。

まず木取りをした後、木を少なくとも4年は乾燥させます。
そしてろくろで木地の仕事を終えたあと、20工程を超える漆工の工程を経て完成作品となります。
すべての工程を自分の手で行っているため、完成までに1ヶ月ほどかかります。
そしてこれらの工程からは見えないデザインの部分でも、自分の納得のいく "かたち" にたどり着くまでには妥協せず、何度でも試作を繰り返すのです。


2012年6月20日水曜日

ほっと一息 * 蛍 *






松本のギャラリーでの親子展を無事に終えて、久々にのんびり出かけることができました。

家から1時間弱、薄暗いなかを散歩をしていると、ひとつ、ふたつとホタル独特の光が・・・
気がつくと数千の光の中にいました。

なんとも幻想的な体験でした。

守って未来につなげたい素晴らしい自然環境がこんなにも近くにあることに感謝です。



2012年6月15日金曜日

作品展のお知らせ 〜 ギャラリークラテル 松本 〜


会期は6月17日までです。





6月11日(月)から17日(日)まで、松本のギャラリークラテル にて『 北原久  北原進 漆芸展 』を開催中です。

日々の器から小家具に厨子と、さまざまな作品を展示しております。

お近くにお越しの際はぜひお立ち寄りください。


" 北原久 北原進 漆芸展 
 2012年 6月 11日 (月) 〜 17日 (日)
ギャラリークラテル  ☎0263-25-9045 "



2012年6月4日月曜日

作品展のお知らせ 〜 伊勢丹 浦和店 7F プチギャラリー 〜


梅皿、梅小鉢



6月6日(水)から12日(火)まで、伊勢丹浦和店 7F プチギャラリー にて作品展をします。

日々の暮らしのうつわや花器、そしてジュエリーボックスにスツール、整理小箪笥、丸テーブルといった小家具や厨子など、さまざまな作品を展示いたします。

木のしごとと漆のしごとは分業でおこなわれるのが通常ですが、わたしは木地(木工)から漆の仕上げまで一貫して自分の手で行い、自らデザインした作品をかたちにしていきます。

デザインから製図をおこし、挽物(ろくろ)、指物、刳物などの技術を用いて木工のしごとをし、さらに漆工の工程をすべて自分ひとりの手で行うのはとても効率が良いとはいえません。でも27年かけてここまでくる過程で、人まかせにしたのではどうしても到達できない着地点があるように感じてしまうのです。

ぜひ御高覧いただければさいわいです。       北原進

" 2012年 6月 6日 (水) 〜 12日 (火)
伊勢丹 浦和店 7F プチギャラリー "



2012年5月31日木曜日

はじまりました 〜 木曽漆器祭 〜





本日より木曽平沢にて漆器祭が開催されています。

北原漆工房も町通りの親戚の家を借りて、ささやかな作品展をしております。

日々の器から茶道具に厨子と、さまざまな作品を展示しております。ぜひ御高覧ください。


2012年6月1日(金)〜3日(日)
原漆工房 木漆芸展
場所:木曽平沢、町通りの歯医者さんの向かって左隣


2012年5月18日金曜日

信州の春


しごと場の出入り口です。

もともとは父が手作りしたもので、後に進が手直しをしながら現在にいたっています。

うちの工房は進が生まれた年に父が建てたもので、進と同じ45歳です。

木曽は信州のなかでも春がやってくるのがおそい地域で、5月半ばくらいまで桜が咲いています。

その季節になると、こんなふうに工房の中にも花びらが入ってきたりします。

一雨ごとに山の緑もみるみる濃くなっていきます。冬が長くて厳しい分、春の悦びもひとしおです。


2012年5月10日木曜日

木地のしごと 〜ろくろ〜







木工の仕事と漆の仕事は分業でおこなわれるのが通常ですが、は挽物(ろくろ)、指物、刳物といった木地(木工)の仕事から漆の仕上げまでの全ての工程を一貫して自分の手で行い、自らデザインした作品をかたちにしていきます。

効率がものを言う大量生産、大量消費のこの時代にあって、その仕事のスタイルはとても効率が良いとは言えず、時代に逆行しているかのように思えるかもしれません。

でもそんな時代だからこそ、大切な人たちと過ごすなにげない日々の暮らしを、暖かく、やさしく彩り、安らぎを感じていただけるものを、コツコツとした手仕事で作っていきたいと思っています。

今回は木地(木工)仕事のなかから、ろくろの仕事をご紹介したいと思います。

まずはろくろ(木工旋盤)の作業風景です(画像1枚目)。粗取りしたお椀(ここではうどん鉢)をこのようにセットして慎重に削っていきます(画像2枚目)。そしてろくろの制作行程にそって、(画像3枚目、左より)粗挽き前→粗挽き→仕上がったお椀(こちらは合鹿椀)です。
さらに漆を塗って仕上げたお椀(うどん鉢)です(画像4枚目)。


2012年5月3日木曜日

木曽漆器祭



今年も6月1日(金)、2日(土)、3日(日)と、木曽平沢にて木曽漆器祭が開催されます。

北原漆工房も北原久北原進のふたり展を開催いたします。

毎年ご来場くださる方々にお目にかかれることを心待ちにしております。

また初めてご来場くださるかたにも “ぬりもの” の素晴らしさを知っていただけるよう努めてまいりたいと思っています。